メディア研究について、特にマーシャル・マクルーハンが提唱する「メディア論」の考え方を中心に解説を行います。いきなり「メディア論とは何か」という本題に入る前に、まずメディアとは何かを考えてみましょう。
メディアとは何か
皆さんはメディアと聞いて何を思い浮かべるでしょうか?新聞やテレビなどニュースを伝えるマスメディがまず最初に思い浮かぶのではないでしょうか。メディアという言葉を辞書で調べてみましょう。
「情報伝達の媒介となるもの。マスコミュニケーションにおける、ラジオ、テレビ、新聞、雑誌などの媒体をいうことが多い。」
(日本国語大辞典第2版. 小学館, 2003.)
メディアそのものは、媒介・媒体を意味する言葉です。 メディアは英語で表記すると「media」となります。これは媒介するもの・媒体を意味する「medium」の複数形にあたります。「medium」と表記されてもいまいちピンとこないかもしれませんが、カタカナ表記をすればミディアムとなります。ステーキの焼き加減を表現するレア・ミディアム・ウェルダンでお馴染みの言葉です。ミディアムは中間を意味し、人と情報の中間にあってそれらを伝達するもの、それがメディアというわけです。
メディアの種類
メディアという言葉の意味が分かったところで、具体例を挙げつつ私たちの身の回りのメディアを分類し、それぞれの特徴を整理してみましょう。
1. マスメディア
特徴:少数の送り手が不特定多数の受け手に対して一方的に発信
具体例:テレビ、新聞、ラジオ、雑誌、書籍、映画
2. パーソナルメディア
特徴:特定の相手との(多くは1対1での)双方向的な交信
具体例:手紙、電話
インターネットはどこに分類される?
ここで一つ皆さんは疑問に思われることと思います。上記の分類には、情報の発信や交信をするメディアとして今まさに皆さんが利用しているこのインターネットが含まれていません。では、インターネットは、マスメディアとパーソナルメディアのどちらに分類されるでしょうか。インターネットの特徴を考えてみましょう。
マスメディアとしてのインターネット
例えば、この記事は少数の送り手(筆者である私)が不特定多数の受け手(この記事を読んでくださっている皆さん)に対してインターネット上で一方的に発信しているものです。ウェブサイトの多くは、少数の送り手から多数の受け手に情報を伝える役割を果たしています。では、インターネットはマスメディアといえるでしょうか。
パーソナルメディアとしてのインターネット
皆さんは普段、家族や友人とのやり取りにどのようなメディアを利用しているでしょうか?もちろんすぐそばにいれば言葉で会話することが多いでしょう。では距離の離れた人とはどのようにやり取りするでしょうか。
電話をすることもあるでしょう。手紙を送ることもあるかもしれません。しかし、普段私達は電子メールやチャット、SNSを利用することが多いのではないでしょうか。では、電子メールやチャットは不特定多数の相手に一方的に発信するものでしょうか。LINEでのやり取りは不特定多数の相手に一方的に行われるものでしょうか。
SNSや掲示板はどうでしょう。つぶやきや書き込みは不特定多数に発信される一方で、リプやレスで反応があり必ずしも一方的とはいえません。
インターネットはこれまでのメディアの枠組みでは区分できない、全く新しいメディアであるといえます。
まとめ
メディアとは・・・
媒体・媒介するもの。人と人、人と情報の間に存在しそれらをつなぐもの。
メディアの種類・・・
大きくマスメディア、パーソナルメディアの二つに分けられる。
マスメディア・・・
少数の送り手が不特定多数の受け手に対して一方的に発信。
パーソナルメディア・・・
特定の相手との双方向的な交信。
インターネット・・・
マスメディア、パーソナルメディア両方の特徴を持つ新しいメディア。
次回はマクルーハンの言葉「メディアはメッセージである」の意味を解説する予定です。
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